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手仕事の記憶を宿す、銅板屋根の家【Roof–1リフォーム事例インタビュー】

屋根一体型太陽光パネルRoof-1を施工した銅板屋根の和風建築のリノベーション事例

2025.11.13
施主インタビュー
屋根一体型太陽光パネルRoof-1を施工した銅板屋根の和風建築のリノベーション事例

足利の住宅街に佇む一軒の家。 厚みのある銅板の庇(ひさし)、やわらかな木の香り、静かに発電する屋根——

かつて建築士の父の背中を見て育ち、工芸を愛し、今は自らリノベーションを重ねながら暮らす施主がいる。

「いかにも載せてますという太陽光は嫌だった」と語る彼女が選んだのは、風景を壊さないエネルギーのかたち。

屋根一体型太陽光「Roof-1」とともに暮らす日々には、手仕事の記憶と未来へのまなざしが静かに息づいている。

屋根一体型太陽光パネルRoof-1を施工した、銅板屋根の和風建築リノベーション事例

 「この家を見た瞬間、ここに住みたいと思いました。」

 彼女がそう語る理由は、屋根の下に伸びた庇だった。少し厚みのある銅板が青く変色し、やがて緑青をまとってゆく——その時間の重なりが美しかった。

 「この銅板がね、少し青くなっているんです。昔ながらの厚みのある銅。そこに惹かれたんです。」

 この家の屋根を太陽光にすることを考えたとき、最初に浮かんだのは景観を壊したくないという想いだった。

 「いかにも載せてますというパネルは嫌で。せっかくの銅板の美しさを打ち消してしまうようなものは、絶対に載せたくなかった。自然と馴染むものでなければ意味がないと思ったんです。」

建築士の父が残した「エネルギーへの感性」

 太陽光に対する親しみは、幼いころからの記憶にある。

 「父が建築士で、工務店をやっていたんです。昭和の時代からソーラーを取り入れていて、子供の頃から太陽の力で家が動くという感覚を当たり前のように感じていました。」

 彼女にとってソーラーは流行のエコではなく、自然と共にある技術だった。

 「父は環境に優しいものが好きで、どんな素材も自然に戻るかどうかで選ぶ人でした。太陽って、どこかから持ってくるものじゃない。毎日そこにある光でしょう? それを使うって、理にかなってると思うんです。」

 足利に戻ってリノベーションを始めたときも、彼女はその思想を大切にした。  「メガソーラーのように景色を壊すのではなく、屋根の一部として静かに光を生む。ご近所の方も、うちが発電してるなんて気づかないと思います。」

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工芸に宿る素材へのまなざし

 彼女の原点は、工芸だ。

 「大学は工芸科で、陶芸やガラスが大好きでした。素材の声を聴くというか、時間が染み込むものに惹かれたんです。」

 母は小さなギャラリーを営み、クラフトや漆器、手仕事の品々を扱っていた。  「家の中にはいつも作家さんの作品があって、自然と作る人になりたいと思ってましたね。」

 家のリビングには、一脚の古い椅子と、青いガラスのグラスが置かれている。  「このグラスが、物をつくる人になりたいと思ったきっかけなんです。小さい頃こんな美しいものを作りたいって思いました。」

 手で作るものへの敬意。そのまなざしは、今も屋根や木の細部に向けられている。

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古い家に、未来のエネルギーを重ねて

 「この家は和風建築工法で建てられていて、瓦の桟が太くてしっかりしてるんです。だから、古民家のような重みを感じながらも、今の暮らしに合わせたかった。」

 Roof–1の葺き替えリフォームを選んだKさん。屋根を変える工事は2週間ほど。住みながらの施工でも、不安はなかったという。

 「瓦を外した後すぐに防水処理をしてくれて、地元の工務店さんの仕事も丁寧でした。あっという間に終わって、ストレスもなかったです。」

 屋根の下には蓄電池も導入した。災害や停電、将来の不安に備えての決断だった。  「地震が多い時代だから、屋根が軽くなるのもいい。年を取っても、自分の家で電気が作れるのは安心ですよね。」

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外のエネルギーに頼らないという自由

 Roof–1導入後、暮らし方にも変化が生まれた。

 「電気代が月2,000円くらいで、売電で同じくらい戻ってくる感じ。曇りや雨でも意外と発電してくれるし、今ではほぼプラマイゼロです。」

 彼女は笑って、「節電を意識するようになった」と続ける。  「電気の使い方を見える化できるのが面白くて。自分で作って、自分で使う。それがすごく気持ちいいんです。」

 物価やエネルギー価格が不安定な時代。彼女は自分の屋根で電気を作るということを、ひとつの生き方として受け止めている。  「今って、世界でいろんなことが起きてるじゃないですか。戦争とか、インフレとか。自分じゃどうにもできないことばかり。でも、屋根の上で自分の電気を作ってると思うと、少し安心できる。未来に向けて、自分の手で灯りを守ってるような気がするんです。」

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手の跡が残る暮らし

 リビングの椅子は、マルセル・ブロイヤーの「ワシリーチェア」。彼女の父が昔、友人に譲ったもので、数十年の時を経て、再び彼女のもとに戻ってきた。  「小さい頃、この椅子に座って絵を描いていたんです。その椅子が帰ってきた瞬間、涙が出ました。」

 父の建築、母の工芸、そして彼女の選んだ太陽光の屋根。すべてが一本の線でつながる。  「昔の家って、全部人の手でできてたんですよね。木を削って、瓦を並べて。そういう手の跡を感じるものを、これからも大切にしていきたい。」

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 東京で長く暮らしたのち、家族の傍に住むために地元へ戻ってきた。  「やっぱり地元に拠点があるのはいいですよね。父が建てた家を覚えてる人もいて、そういうつながりが嬉しい。」

 夕方、銅板の庇が柔らかく光を返す。風が抜け、屋根の上では静かに発電が続く。  「私にとって太陽光は、設備じゃないんです。風景を壊さず、未来に残していくための選択。屋根も木も、銅も光も——すべてが時間の中で馴染んでいく。それが一番、心地いいんです。」

“載せない”という美学。太陽光発電する銅板屋根の和風建築【Roof–1リフォーム事例】

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