ジャーナル詳細

新サステナブル拠点。AWAJI EARTH MUSEUMが考える「自然になずさう」体験とは。

螺旋状の太陽光発電する屋根がある、淡路島のサステナブル拠点

2025.8.23
施主インタビュー

AWAJI EARTH MUSESUM。淡路島・西海岸エリアにある北淡震災記念公園のすぐそばに、3月にオープンしたばかりの新たなサステナブル拠点だ。

1995年の阪神淡路大震災から30年。その爪痕を忘れずに語り継ぎ、震災の脅威と、対策後世に残していく、学習型ミュージアムとして建設された、北淡震災記念保存館と同時に建てられた物産館が今年、運送事業を中心に人の移動手段を提供する事を目的としていたバス会社・神姫バスにより、全く新しいお店へと生まれ変わった

店舗は大きく分けて2つ。旧物産館を改修し、地産地消のフードが楽しめるCAFE、子どもたちが遊べるPLAYROOM、お土産などが購入できるミュージアム棟と、敷地内の更地を使って建てられた東屋を中心に有用植物が植えられたGARDENと呼ばれる庭園で構成されている。

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温かみのあるフォント、アースカラーの色味 ところどころで淡路の粘土や、それを用いて作られた淡路瓦、さらには陶芸作家や家具職人による什器やサインが空間に散りばめられている。

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何かを外から持ってきて新しく創るというよりは、すでにあるものに目を向けることで、改めてその価値を知っていただき、本来の輝きを取り戻してもらう事を大切にしている。

「自然になずさうー。」 なじむ、親しむ、ただようといった意味を持つ古語をコンセプトに掲げるこの施設を、人間と自然の付き合い方を再提案する場所にしていきたいと、副館長の宮城知代さんは語った。

なぜ、震災記念館の隣で、自然との共生というコンセプトを選んだのだろうか。

環光産業は、非物質的な価値へ。

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宮城さん:「自然のあらゆる動きは、地球活動の一部、自然の一部。それが人にとって脅威になることが多いと思います。それくらい人間は弱い生き物。だからこそ、外側を発展させてきたと思います。大量生産&大量消費もその延長にあったと思っています。そしてニューツーリズムの時代に移り変わっていく時期にきて、観光産業の価値も物質的な価値から非物質的な価値に移り変わっています。ここで改めて自然と共に生きることについて考えると、私たちの生活で起こるあらゆる現象の根源はどこから来ているのか・土とか植物とか微生物などから教わるミクロな自然体験からマクロな地球・大自然を知ることによって、実はそれは自分の人生や日常にもつながっている。私たちは自然体験を通じて本当のサスティナブルを提供していきたいと思っています。」

自然との関わり方をともに考える場所に

未来を生きていくのは、今のこどもたちの世代。だからこそ、こどもたちの感受性を育むことができる場所にしていきたいと宮城さんは語った。

AWAJI EARTH MUSEUMにはこども達、そしてその家族が楽しめる仕掛けがある。たとえば、視界を切り取ることで新たな発見、きづきを与えるアースルーペ。

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宮城さん:「私たちのこの肉眼で捉えられるものって範囲がものすごく狭いじゃないですか。例えば小さすぎても顕微鏡を使わなかったら見えなくなっちゃうし、大きすぎても望遠鏡を使わなければ見えなくなる。この肉眼で見える世界ってすごく限られてる。だからこそ、世界をのぞき込んでみようというのが、アースルーペっていうツールです。当店の体験コンテンツだったり、PLAYROOMは全て覗き込む行為ができる仕掛けがいろんなところにあって、それがアクティビティになってたりしてます。」

サステナブル体験型ミュージアムの設計について

GARDENエリアには、モノクロームの屋根一体型太陽光パネルRoof-1が搭載されている東屋が建つ。その周りにはハーブがたくさん植えられており、それらの植物や、そこに集まる生き物をアースルーペを通して新しい発見ができる。

東屋を設計を担当したのは建築設計事務所MuFF代表の今津氏。設計の観点から、どのようにして自然を感じることができるのか、お話しを伺った。

旧物産館をリノベーションしたミュージアム棟。30年前、震災のすぐあとに建てられ、しっかりとした壁式鉄筋コンクリート構造。それを活かして、断熱材を加えるだけというシンプルな方法と引き算の方式でリノベーションをしたという。

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STUDYルームの内壁は土のように見えてそうではない。

今津さん:「実はこれ、発泡ウレタンという吹き付けるタイプの断熱材です。そのまま吹いてこれを見せるっていうのはほとんどしないことのですが、質感も土っぽいし見せた方が面白いんじゃない?というのは初期から考えていました。土っぽい色で保護塗装し、あえてその質感を利用する。今見えている天井材も、元々天井内にあった下地材です。」

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大木の一枚板のテーブルが目を奪う。「こんな大きな木でできたテーブルがあったら、こどもたちもよろこぶかなとおもって」と、間伐材や、立ち枯れた切り株などを利用し、コンクリートの無機質な空間を、有機的な力強い生命力で飾っていく。自然のものと人工物を組み合わせる今津さんのアプローチは、彼のプライベートでの自然との関わり方から来ている。

今津さん:「山をもって5年ほどになります。それで、緑で土に触れていると、体がよろこんでいるなという感覚を知りました。うってよく言うじゃないですか。サウナの人とか、毎週一回山へ行って草刈りしてるだけでもいいんですけど、本当に整うんです。(笑)」

「自分たちコントロールできる材料を持ってきて、自分たちのコントロールできる形で作るっていう、これもすごく面白いし、やり方は無数にあると思うし、面白いんですけど、そうじゃなくて、自分たちが作ったものじゃないもの(自然のもの)を使って、この材料をどう使うかということを考えるのも、建築の面白さじゃないかなと最近思っています。なので人工的じゃないものと人工的なものと、我々のアイデアと自然物の融合でどういうものができるかっていうものを山に行くようになってからすごく考えるようになりました。」

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プレイルームには、ウッドチップが敷き詰められていて、檜の香りが広がる。穴の部屋はもともと押入れだったものを、小さな秘密基地となるよう設計。てすりには今津さんの山からとれた木を使用している。いわゆるキッズルームではなくて、プレイルームなので、外で遊べる、外で遊ぶ、楽しい体験がそのまま室内でもできるくらいの、何か外部環境のようなものを作り出したかったという。

今津さん:「全天候に対応する施設をつくりたかったんですよね、淡路に雨でもあそべる施設がなかったんで、そういったものを作りたかったんです。雨が降ったらMUSEUM、晴れの日は外のGARDENで五感を使って遊んで欲しいです。」

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螺旋状のクリーンなエネルギーをつくる屋根、GARDEN

特徴的な建築が、ガーデンにある。モノクロームのRoof-1が設置されている東屋だ。

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今津さん:「集まる場所っていうよりも、公園の中を散策するように、歩いている道がそのまま居場所になってるみたいな建築ができたらいいなと思って。移動しながらどんどん風景が変わっていくみたいな空間体験ができたらいいなと思って作りました。屋根が幾何学的で、2つの半円をくっつけた形です。屋根の勾配がそれぞれ異なり、すべての屋根の勾配が南に傾いています。」

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「それぞれの屋根に異なる役割があり、手前の開いてる方(東側)はより効率的に太陽光を受けられるように、南側に傾斜しながら扇型に開いています。西側の方は効率的に雨を溜められるようにすり鉢状になっています。そこに集まったたくさんの雨が、ビオトープに集まるように設計しました。ささやかではあるけど、自然のエネルギーや恵みを体験できる施設になったらいいなと考えて、あの形にしました。」

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この日は、たくさんの子供達とその親御さんが集まりアースオーブンづくりをするイベントが開催されていた。講師には窯クリエイター・クドウシュウジ氏を招き、地元淡路島の土を練り、それを積み上げ、形にしていく。子供も大人も裸足になり、手足をつかって土を感じる。まさに自然と一体化し、自然になずさうを体感できるアクティビティだった。

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Roof–1の屋根の下、元気いっぱいに自然を楽しむ子供達の姿に、AWAJI EARTH MUSEUMが目指す景色をみる。夏にはハーブガーデンが茂り、より自然を感じる環境になる。

今後蓄電池も設置され、夜間の電気の点灯の電源にするなど、より電力を有効に活用できるように進化していく予定だという。

ぜひAWAJI EARTH MUSEUMで、自然となずさう体験をしていただきたい。

AWAJI EARTH MUSEUM 656-1736 兵庫県淡路市小倉1733 北淡震災記念公園内 TEL.0799-64-7088 FAX.0799-64-7089 https://awaji-earth-museum.com/

Roof-1について

Roof-1は金属屋根に特殊加工した太陽光セルを組み込むことで、普通の屋根にしか見えないデザインを実現した屋根一体型太陽光パネルです。一般的な住居用太陽光パネルは屋根、架台、太陽光パネルを設置するのに比較し、屋根だけの設置となるため1回の施工で完了する他、高いメンテナンス性も実現しています。塩害地域も20年間無償製品保証。詳細は弊社ホームページhttps://www.monochrome.so/roof)をご覧ください。

モノクロームについて

モノクロームは、創業者の梅田優祐が自宅を建設する際に、理想の住宅用太陽光パネルと、つくられた自然エネルギーを効果的に制御するためのソフトウェア(HEMS)が存在しない問題に直面したことをきっかけに、その問題を解決するため、20217月に設立された会社です。 Instagram@monochrome.so X(Twitter):@monochrome.so Website : https://monochrome.so/

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